時事の騒ぎより、現場の蓄積を
クマの出没が続く中、SNSや報道では「キャッチーな時事ネタ」として大きく扱われることが増えました。
もちろん注意喚起は大切ですが、一時的に衆目を集めるだけでは、地域の現状は何も変わりません。
いっときの話題ににわかで飛びついてアクセス数を稼ぐための「話題にすること」ではなく、大事なのはその先にどんな改善策を示し、どんな現場の行動につなげるか です。
興味を集めるために話題だけを切り取ると、見えてくるのはごく一部。
むしろ、野生動物対策の本質から人々の目をそらし、かえって地域の判断を誤らせることすらあります。
鳥獣問題は、派手な場面より、静かに積み重なってきた生態の変化や土地管理の変遷のほうがはるかに重要です。
河川区域の植生変化や大型獣の動線化については、弊社は10年前から調査をはじめ、5年前からは県の研修会で繰り返し警鐘を鳴らしてきました。
しかし、こうした地味な課題は話題としての“華”が少ないぶん、注目されづらいのが現実です。加えて対応が先延ばしにされ、衆目を集める時には既に深刻化の一途。
また、社会の衆目が集まれば都合よくピックアップされた拙速な意見が出されて、本質的な対策から外れた方向に向かっています。
そのような場面を今回を含め数多く見てきて、歯がゆい思いをたくさんしていました。
だからこそ今、あえて伝えたいのは、
現場を見て、記録を残し、改善につなげる — その地道な流れこそが地域を強くする。
という、ごく当たり前のことです。
クマであれシカであれ、話題にするだけでは何も変わりません。
変えるのは、見えづらい場所で積み重ねてきた情報と、そこから生まれる具体的な対策です。にわかではなく、プロセスを丁寧に扱い、今後に向けて場当たり的でない適切な対処を考え実行することです。
現場に立ち会って、一緒に汗水流して対策している市町村の担当の方々には頭が下がる思いです。
弊社は、その現場ベースで育ってきました。
早朝から調査に立ち会って一緒に調べたり、わなにかかった動物を一緒に対処したり、担当者様の大変な思いを、よくするための想いに変えることが使命の一つです。
ご担当者様の中には、現場で培ってきた「盟友」が何人もいます。
だからこそ、その現場に一番効くために全体像をデータで見定めた対策を講じたい、その思いで業務を行っております。
それが鳥獣行政を変える現場からのステップだと感じています。
今一度、発信される情報を見返してみてください。
そして「だから、どうする?」があるかないかが、その情報の本質です。
「にわかには出せない、本質がそこにあるか」、その部分で話ができる社会であることを、切に願っています。

この文はあくまで一現場人としての私的な想いです。
前回のレジリエンス含め、今回のクマ騒動が思い付きの政策に振り回されず、調査結果と、その結果からの次の正しい政策につながることを祈念するばかりです。

