現場を支える開発の強化
年度当初は、現場での調査や対策業務が本格化していく時期です。
甲斐けもの社中でも、今年度も業務開始にあわせて、現場調査をより効率的に進めるための開発を強化しています。
特に本年度は、センサーカメラ調査の高効率化に力を入れています。
野生動物の調査では、センサーカメラによって多くの画像が撮影されます。
一方で、その画像を一枚ずつ確認し、シカ、イノシシ、サル、クマ、人、車両などを分類していく作業には大きな手間がかかります。
撮影枚数が増えるほど、分類作業に時間を取られ、本来重要である「どこに、いつ、どの動物が出ているのか」「どの場所で対策を優先すべきか」といった分析に十分な時間を充てにくくなります。
そこで甲斐けもの社中では、近年はこれまで蓄積してきた調査データを活用し、野生動物の分類精度を高めた独自強化モデルの開発を進めています。

弊社のモデルの強みは、一般的なAIをそのまま使うのではなく、現場で野生動物を見てきた専門家自身が、AIモデルを調整・強化できる点にあります。
夜間画像や赤外線画像、動物の一部だけが写る画像、草木に隠れた画像など、実際の調査現場で起こる判別の難しさを踏まえてチューニングできることが、甲斐けもの社中ならではの特徴です。
AIの精度は、単に画像を多く学習させれば高まるものではありません。
どの画像を学習に使うのか、どの分類を重視するのか、どのような誤判定が現場で問題になるのかを理解していることが重要です。
甲斐けもの社中では、これまで各地の調査で得られたデータ資産があります。
そこに、野生動物の行動や痕跡、現場条件を理解した専門家の判断を組み合わせることで、現場実装に使える分類モデルの強化を図っています。

この仕組みにより、センサーカメラ調査におけるデータ分類の負担を減らし、より多くの時間を分析や対策設計に充てることができます。
分類作業を効率化することは、単なる省力化ではありません。調査結果を早く整理し、被害対策や捕獲計画に反映するための重要な工程です。
また、甲斐けもの社中では、通信型センサーカメラを活用したネットワーク網の構築も進めています。
現場に設置したカメラから画像を取得し、撮影後おおむね2分以内に、写った動物の分類と通知まで行う体制を構築しています。
例えば、クマのような危険性の高い動物が撮影された場合、関係者へ速やかに通知することが可能です。

これにより、目撃情報や通報を待つだけではなく、現場の状況をより早く把握し、初動対応につなげることができます。
野生動物対策では、現場の変化をいかに早く捉えるかが重要です。
そのためには、カメラを設置するだけでなく、得られた画像を早く整理し、必要な情報を関係者に届ける仕組みが必要になります。
甲斐けもの社中では、今後も kemono.page の機能強化を進め、センサーカメラ調査、データ分類、通知、分析までを一体的に扱える仕組みづくりを進めていきます。
現場で使える技術として、調査の効率化と対策の高度化を両立できるよう、今年度も開発と実証を重ねてまいります。
