今年度の河川区域シカ対策について

河川は、シカにとって単なる通過点ではなく、採食と移動の両方に適した利用空間として定着しつつあります。近年は河川区域内での生息が明確に増加しており、対策の前提そのものが変わり始めています。

県内で約10年にわたり継続している定点調査では、確認される個体数は当初の約5倍にまで増加しました。これは一時的な変動ではなく、個体群の拡大と環境利用の変化が重なった結果です。河川空間を含めた広域的な視点が必要になっています。

こうした状況に対し、昨年度は河川区域内での試験的な捕獲を各地で実施しました。調査によって移動経路や利用頻度を把握し、対象個体を特定した上で捕獲する方法を整理しています。単に見つけて捕るのではなく、捕れる条件を設計するという考え方です。この取り組みにより、河川内でも再現性のある捕獲技術として成立しつつあります。

今年度は、関係する以来の多さから、これまで培ってきたこの技術を支援事業として提供しています。調査から捕獲設計、現場運用までを一体として支援し、継続的に機能する体制づくりを実装段階で進めていきます。

さらに、くくりわなによる単体捕獲に加え、複数頭を同時に捕獲する手法の実証も予定しています。特に富士川では群れ単位での利用が確認されており、個体ごとの対応では効果が分散する課題があります。群れ全体に対して効率的に働きかける手法の確立が重要になります。

これらの基盤となるのが、ドローンによる調査技術と、GISを用いた生息場所の特定です。上空からの面的な把握と、地理情報としての蓄積・解析を組み合わせることで、出没の傾向ではなく構造として捉えることが可能になります。どこを通り、どこに留まり、どのように分布しているのかを可視化することで、捕獲の精度は大きく向上します。

こうした技術をこれまで、県内外20以上の自治体および民間企業で導入してきました。調査や機材の提供にとどまらず、データに基づく意思決定と現場実装まで含めた支援として、ニーズは着実に高まっています。

これまで増加してきた個体群に対し、今後は減少させる段階に入ります。そのためには、調査、分析、捕獲を分断せず、一体として設計し、現場で実行することが不可欠です。

本年度は、笛吹川および富士川を対象に、この一連の取り組みを本格的に展開します。調査で得た情報をそのまま捕獲戦略に反映し、実務として結果を出すところまで支援していきます。河川区域におけるシカ対策の現実的な形を、現場から積み上げていきます。