「けもの」と「リスク」と「防災」
「けもの対策は、防災リスクマネジメント」、最近この仕事をしていると切に感じます。
これまで業務の中で、JUIDAの安全運航管理者や防災士を取得しています。そこでの話でも、いかにリスクを把握するか、そして、いかに需要可能なリスクまで低減させるかがカギになります。
例えば、ドローンは回転翼の機械を上空に上げます。普段できない俯瞰だけでなく、各種センサーから得られる情報、また撮影画像から生成、分析する解析など・・・そこから得られる情報はかなり有用です。
一方で、強風でのロスト、本体の故障などの原因で墜落、事故も想定できます。きちんと機能を理解して操縦をしなければコントロールを失い、墜落や衝突により周辺に危害が発生します。
そう、得られるメリットに対し、相応のリスクがあるわけです。
そこでメーカーは、機体の本体やプログラム機能で改善を行います。プロポ(コントローラー)からの電波が途絶えたら、自動で帰還する(ゴーホーム)機能がひとつの例です。しかし、それだけで十分でしょうか。
こういった場合に発生しうる事故もあります。ゴーホームの際に、途中で障害物とぶつかるケースです。この場合、一番怖いのは高圧線です。本体機能で周辺のセンサーはありますが、あくまで面などです。細い線は感知できません。
では、どうすればこのような事故を防ぐことができるでしょうか。
事前に下見をする、飛行経路上の障害物がないか確認する、そしてゴーホームの高度設定を確認しておく、このような準備が必要となります。
つまりリスクに対しては、リスク要因を挙げ、それを防ぐ手立てを事前にすることです。
また、これに加え、仮に周辺に影響を与えてしまった場合の緊急連絡先などを把握しておくのも必要です。これらは基本的に航空局の飛行マニュアルや、それの準拠した独自マニュアルで準備するようにしています。
リスクは減らせます。減らしたその先を、受容可能なリスクレベルにすることが重要です。
さて、次にリスク想定ですが、防災の話をしましょう。
山に隣接しているところ、川に隣接しているところは、それぞれ土砂崩れや洪水・浸水リスクがあります。とはいっても、生活があるわけですし、また先祖代々受け継いできた土地というのもあります。リスクに対して、安全に暮らすための応答手段を計りながら、地域の社会はできています。
その安全を確保するために、土砂災害のリスクマップであったり、想定浸水域マップであったり、浸水時のタイムラインを使って、備えるわけです。
ちなみにリスクマップで色が塗られていないところは安全とは限りません。その特定の想定の中だけで、最小限のリスクということで、基本的にリスクはゼロではない、ここが重要です。
私たちが暮らすところ、どこにもリスクはあります。大事なのは、どのようなリスクがあるか、その時にはどう対処するかを知っておくこと、そして、普段から備えることです。リスクマップがあれば大丈夫、ではなく、事前に対応方法を共有していたり、非常持ち出し袋を用意していたりと、リスクの発生前・発生後の想定をしておくことが防災となります。
さて、長くなりましたが・・・けものではどうでしょうか。
ここまで説明していますが、今の課題は「私たち社会は、どれだけけものとのリスクに備えているか」です。
土砂崩れリスクマップ、浸水マップのように、どこで、どれだけけものが棲んでいるか?個体数は?行動圏は?
情報がなければ対処はできません。限定的にできても非効率で微々たるものです。
最近多い、市街地出没も、例えば災害と捉えてみましょう。
どういったところで起こりやすいでしょうか?過去の出没をまとめて分析はしていますか?
実際に発生したときに、きちんと対処できていますか?タイムラインは考えられていますか?
市民の安全確保、各機関との情報共有、専門家からの知見と今後の想定、それぞれできていますか?
そもそも、なぜ、それが起こったか、検証をしていますか?
地震などの災害の危機管理ではかなり予算とマンパワーをかけられていますが、悲しいことに、実はけものの方はあまり力が入れられてないのが実態です。けもののリスクマップの必要性、今回の大量出没の時にあれば、どうだったでしょうか。
けものリスクは農林水産業だけではないです。安心安全な生活のためには、リスク原因の把握と対処法を備えておくことが求められます。ランダムに出てくるのではありません。
また、たも網を持って追い回すのではなく、二次災害のリスクを把握しながら、誘導するように捕獲をする、資機材は備えておく、こういった体制整備が必要です。

