簡単リモート対応スマートわな

一般的に「ICT対応わな」と聞くと「値段が高い」「仕組みが複雑」といったイメージが先行しがちです。また、ICT/IoTの補助が使えるから、ということでどうしても仕組みがブラックボックスなまま割高な一式を購入し、使いこなせず倉庫でお蔵入り・・・という話も伺います。

小型のマイコンが普及するに従い、わなのスマート化は格段にしやすくなりました。わなのスマート化によって、捕獲効率も上げやすくなります。

 

  • わなの中に警戒心を招くものを設置しなくても良い

野生動物は「わな」という異物に警戒心を抱きます。ただでさえ、通り道に不自然なものが置かれている上に、不自然な人工物がついたエサ候補(例えば、糸がついたリンゴなど)があるとすると。。。わなに入る可能性はそれだけで大きく削がれます。

先日のブログの通り、わなの中にエサを置くだけにして、入ったかどうかの分類をセンサーがすることで、わなを動作させることができます。また、この方法であれば、わなを動作させる糸や感度についても調整不要です。

わなの中には仕掛けはありません。動物の警戒心を下げることもできます。
  • わなの種類は特殊な場合を除き、どれにも対応可能

大抵のわなの基本動作としては、扉の部分を支えている部分を動かし、自由落下で扉を閉めます。つまり、この動作部分をモーターなどで置き換えれば対応は可能になります。

こちらは甲斐けもの社中でわな動作研究用に使用しています。薄茶色のコンテナの中にマイコン部分が入っており、敷地内の無線LANにつながっている状態です。ここから検証用のセンサーを引き出し、必要箇所に装着して動作検証をしています。

必要な場合は、センサー部分の格納ケースや、モーターとわなの連結部分は3Dプリンターでパーツを作って対応しています。古い箱わなで、部品がなくなってしまったものも、計測してパーツを作り、修理したこともありました。

わなの上にあるのがアクチュエータ(作動部)です。薄茶色のボックスはマイコン(小型コンピューター)や電源を格納しています。
  • 作動についての複雑さは不要

動作はシンプルです。スマホやタブレット、PCなどで指定のウェブサイトにアクセスし、配置されたボタンを押すだけです。いわゆる、「ポチッとな」といった感じです。

バックエンドとしてはMQTTやESP-NOW、Bluetooth、Zigbee、LoRaなどLPWAなどがあります。検証用としてよく使うのはMQTTでしょうか。複数のセンサーのデータを間欠で把握するには便利です。

簡易的にする場合は、QRコードで読み込ませたウェブサイトでわなの動作ができます。専用ソフトは不要です。

実際に動作させたものがこちらです。(取り急ぎ、動作スイッチのみです。)また折をみてセンサー稼働の動画をご紹介します。

使い方として、カメラで確認しつつスイッチで扉を閉めることもできますが、例えば、市街地出没の際に追い込んだ先でわなの中に入ったものをリモートで扉を閉めるときにも使えます。上のサンプルの場合はむしろその用途のほうが妥当かもしれませんね。

 

市町村で総合対策事業などで購入したけど持て余してしまっている、放置されてしまっているわなの復旧や、IoT対応への改造など、なにかありましたらお気軽にご相談ください。