わなのトリガーとしてのセンサー

最近、捕獲関係でよく耳にする、センサー作動のわなについてご存知でしょうか。

甲斐けもの社中では小型わなのセンサートリガーを設計、組み上げまで行っています。センサーをマイコンのにつなぎ、そこから通信して通知したり、逆にリモートコントロールでわなを作動させる事もできます。(市街地出没のときにはとても便利です)

今回はセンサーの話ですね。ここにいくつかサンプルをご紹介します。

まず、左端のものが赤外線での距離センサーです。片側から赤外線を出し、その跳ね返りで距離を割り出しまします。(細かいことを言えば、電圧を見るのですが、今は抜きにします)

左から2番めが超音波で同様に距離を測るセンサーです。片側から超音波を出して、もう片側でその跳ね返りの音をキャッチ、その時間差で距離を割り出します。(小学校の頃に音が秒速340mでー、といったものの応用ですね)

左から3つ目が焦電センサーと呼ばれるもので、一般的にはよくあるセンサーライトの感知する部分です。センサーカメラにも使われていますね。

最後に右端がマイクロ波センサーです。マイクロ波の反射を使い、空間内の動きを感知します。金属製の障害物出ない限り見えないところの動きも感知します。

 

御存知の通り、動物を捕獲する際にはわなを使います。動物が入ったあと、どのようにわなの扉を閉めるか、その機構を「トリガー」と呼びます。

例えば、赤外線の距離センサーであれば、センサーから一定の距離より短くなれば扉を閉めるモーターを動作させる、という仕掛けになります。 

しかし、それぞれセンサーにも得手不得手があります。赤外線であれば太陽のギラつき。直射日光が差し込むところだと光の乱反射で距離がうまく測れません。

超音波についてはおもしろい実験があります。何年か前、このセンサーを使い、動物が奥まで入ってきたらわなを閉めよう!としてみました。大きめのわなを用意し、自分で四つん這いで中に入り、ちゃんと閉まることを確認し、現場に置いてセンサーカメラで確認しました。ちょうどいいくらいにサルがやってきて・・・わなは・・・動作せず。おかしいな、と思い、自分が手をかざしてみたら動作します。

この理由、わかりますか?

勘のいい方は気づいたかもしれません。動物は「けもの」と呼びますよね。「毛」「物」とでも言いましょうか。

そうです、毛皮が原因でした。発せられた超音波が毛皮に当たり、音が減衰していたのです。人間の皮膚は跳ね返りましたが、流石に毛は音を吸収するのですね。(うちの犬でも実験しましたが、鼻先に超音波が当たれば反射しましたが、毛の多い部分はダメでした)

 

一般的に人間で使えるものがそのまますぐ使えるものとは限りません。

センサーカメラでもそうです。焦電センサー(左から3つ目)が感知部分についていますが、この焦電センサーは赤外線の動きをとらえます。すすき畑の横をシカが通るからといって何も考えずにカメラをかけておくと、何百枚ものすすきのコマ送りを堪能する羽目にもなります。

センサーの仕組みを知っておくだけでも、使い方や注意点は見えてきます。

 

試験的に作っているアライグマ用のわなですが、組み合わせをしています。まず、焦電センサーを、感知範囲を絞るように3Dプリンターでカバーを作り、感知すれば赤外線距離センサーが起動し、わなの中のエサに体の一部が触れるかどうかをチェックします。そうすることで、わなの外側から手を伸ばしてエサをとろうとして誤作動することも防げます。

なかなか奥が深いセンサー類、またこの続きや、それを制御するためのマイコンのプログラミング、通信方法、現場での電源確保などもこちらでご紹介していきます。