この時期の野外作業と例の動物と例のスプレー

あちこちで野生動物が市街地出没、目撃が続く昨今ですが、とはいえ定期的に森林内や林縁部で行わなければならない請負業務もあります。今日もそうでした(腰痛い)

(※この後の動物名は、なんか色々面倒で絡まれそうなので動物名伏せます、大体ご想像がつくかと。主語がない部分もありわかりづらくてすいません。)

もちろん、遭遇リスクはありますが、最大限それは減らしたいところ。要は、リスクマネジメントですね。リスクという以上、起こりうることです。大事なのは、どう減らし、そうなった場合、どう対処するか。結果、安全を維持できることに越したことはありません。

そこで一通り、このような時期の野外作業前には一例として下記の準備をするようにしています。

  • 依頼元、家族ときちんと作業内容と移動予定を事前に共有する
  • どの地点での作業が遭遇リスクが高いかを事前に検討する
  • その時の対応手順を、共同作業者と確認する
  • 作業時の記録(音声・動画)をとる
  • 装備を確認する
  • 遭遇時の想定行動を復唱する

まずは、遭遇をしないことに尽きます。

とにかく、人がいること、接近してきていることを理解させる最大限の努力をします。入る場所に立ち、声を出す、金物がぶつかる音(作業時に使う鍬をぶつけ合って響かせる)などを作業前にしています。また、熊鈴だけでなく、多数の人の声が入ったスピーカーを持ち歩くようにしています。ラジオもいいですが、特に複数人の話し声・歌声が遠くまで響くように音源を作り、高W数のBluetoothスピーカーで鳴らしています。

音を鳴らせば、動物は退くかと言われれば、絶対ではないです。ただ、相手もわざわざ接触を狙ってくるわけではありません。「臆病な動物」と表現される研究者の方もいらっしゃいます。ですが、幼獣がこちらの近くにいる場合、守るために接近してくる場合もあり得ます。そういった時、まずは安全に身を守れる距離感で、こちらの居場所を伝えることが大事と考えています。

次に、遭遇した時の対応です。

まず、作業に入る前に共同作業者と手順確認をします。忌避用に音を鳴らしているので気づきにくいことも考え、ジェスチャーを決めます。また、接近してきた場合の対処を想定した確認をします。特に、スプレーを使用する場合に備えて、ピンの外し方、支え方(強力に噴射するので、その保持)、それぞれの位置関係と、噴射後の動作、等です。

どうしても慌てることは、人間誰しもあります。放獣業務をして何度も相対してきても、やはりフリーで正面にいる状態で遭遇したくないものです。ただ、大事なのは、「その時にどうするか」を体が反応するようにしておくことです。もしくは、共同作業者が、その動作のトリガーになるように保険(サポート体制)をかけておくことです。

学習放獣での経験的な話で恐縮ですが、例のスプレーは最初の1回が一番効きます。言い換えれば、第2射、3射となると格段に怯む可能性は下がります。そして、スプレーは高圧で封入されているので、数秒連射すれば噴射圧が下がりますし、すぐ出なくなります

最初に、一番有効な部位に、的確に噴射をしなければ効果は得にくいのです。

スプレーがあれば安心、ではありません。とっさの時に、相手の目と鼻に的確に向けて噴射しなければ、効果が得にくいのです。

これは火災時の消火器と同じ考えです。焦って、ちゃんと保持しないまままき散らしていては元も子もありません。

スプレーの目的は、一時的に視野と嗅覚を抑えることです。カプサイシンによる痛覚や催涙効果です。しかし、長くは続きません。痛覚の慣れで、鈍化します。あくまで「一時的」なものです。つまり、噴射をした後どうするかです。それを噴射したときに考えていては追いつきません。だからこそ、事前に安全管理として、共同作業者と話し合っておきます。身を隠す場所、その時の動き、等です。

これがあれば安全、というものはありません。どのように適切に使用するかが重要です。

特に、そのような講習がある時にはその部分を確認したり、もしスプレーのみの場合でも、咄嗟の動きをシミュレーションしておくことで適切な対応につながります知識だけでは、焦ってしまい余計に悪手をとってしまいがちです。

ニュースで出たことを知って騒ぐのではなく、正しく怖れて、だからどうするを考えること、備えることが「対策」です。