河川区域における継続的な生息状況調査の必要性

河川区域は、野生動物にとって重要な移動経路であり、一時的な滞在場所にもなります。

市街地付近に生息するシカの様子(トリミング加工済)

特に、河川敷や河川区域内のやぶ、草地、樹林帯は、野生動物が人目を避けながら移動し、市街地や農地へ接近する経路になりやすい場所です。市街地や農地での出没・被害だけを見ていても、その背景にある河川区域の利用状況を把握できなければ、対策が後追いになってしまうことがあります。

甲斐けもの社中では、過去10年にわたり、ドローンを活用した富士川での定点調査を継続してきました。当時より河川区域が今後の鳥獣被害や市街地出没のリスク要因になると考え、状況の記録とデータ採取を積み重ねてきたものです。

このデータから河川区域内の植生、やぶ化の状況、動物の利用痕跡、周辺の農地や市街地とのつながりを把握することで、どのような場所が移動経路や滞在場所になりやすいのかを分析し、対策の検討に役立てています。

また、近年では自治体の要望にお応えし、調査・分析だけでなく、実際の捕獲や、地域への捕獲技術の提供にも取り組んでいます。調査で得られた情報をもとに、必要な捕獲圧のかけ方や重点的に対応すべき場所を検討し、地域の捕獲従事者や関係者が継続的に対応できるよう、技術面での支援も行っています。

過去の研修会等でお伝えしている通り、河川区域は、野生動物が市街地へ接近する主要な経路の一つです。特に、やぶ化した河川区域では、人が気づかないうちに動物が定着・増加し、気がついた時には対応が難しい状況になっていることがあります。

近年でも、6年ほど前に調査委託事業を受けて現地調査を行い、生息状況の報告に加えて対策方法提案と注意喚起を行いましたが、その後引継ぎが適切になされず政策実行とならず、対策がされなかった結果、現状で溢れた生息数が周辺農地に出没し続ける事案となっていました。

繰り返しになりますが、河川区域は市街地出没における今後重要なファクターとなります。単なる空白地や緩衝帯として見るのではなく、野生動物の生息・移動・滞在の場として継続的に把握することが重要です。この現状把握が年々遅れる度に、周辺での被害や事故件数が増加し、その対応がより困難になり、また対応にかける予算も増加することは明白です。また、把握さえできれば、後は対策の組み立てです。その部分は地域の力を存分に発揮できる部分です。

甲斐けもの社中では、ドローン、現地踏査、痕跡確認、必要に応じたセンサーカメラ等を組み合わせ、河川区域の実態把握から、捕獲・防除・地域への技術提供までを一体的に支援しています。