獣害ってなに?

(前回)けものビギナーズ始まります

うめ

早速ですが、「獣害」と言う言葉、たまーに耳にしますが、正確にはどういう意味なんでしょうか?

やまもと

農林水産省によりますと、獣害とは「野生鳥獣による農林水産物、及び生活に関わる被害」のことですよ。

(参考)農林水産省鳥獣被害対策コーナー

うめ

ふむふむ・・・カタい表現ですね。つまりは「野生鳥獣」というと野生の鳥や動物のことですかね。具体的に、どんな動物ですか?

やまもと

鳥で言えば、カラスやハト、ムクドリ、スズメなどですね。

獣だと、有名どころでは、シカやイノシシ、サル、クマ(ツキノワグマ、ヒグマ)ですね。山梨だとハクビシンやアライグマ、関西とかではヌートリアもいますよ。身近だとモグラとかもですね。

うめ

(モグラ叩きは獣害対策だったのか・・・)なるほど。

昆虫はどうです?イナゴの集団が畑を食い荒らす、なんて被害も聞いたことありますが。

やまもと

おしい!鳥獣なので、昆虫は含まれません。とはいえ実は外来昆虫のリスクは、獣害とともに今後、農林業だけでなく環境でも大きな問題になる可能性が高いと言われていますよ。

うめ

そうなんですね。

野生動物の被害は具体的にどんなものがあります?農産物の被害は、シカが入って畑が荒らされたりとか、けもの社中がある南アルプスとか果樹の名産地だとサルにシャインマスカット(!)が食い荒らされりとか話を聞きますが、林業の被害とかは、イメージ湧かないなぁ・・・

やまもと

よくある例では、シカが角を木に擦り付けて、樹皮が剥がれて木を枯らしちゃったり、植林した若い木の上をモシャモシャ食べられたりしますよ。こんな感じ。

うめ

あらら、樹皮が丸裸に。これじゃ木も育たないし、林業されている場合は続くと大変ですね。価値も下がっちゃうだろうし・・・

やまもと

実はそれだけでは済まないんです。こういう状態が続けば、木も下草もなくなり、森が荒れますよね。結果、流域の水資源にも影響を与えます。実際、ある飲料メーカーさんは、ミネラルウォーターの生産に与える影響を危惧して、環境保全の一環でシカ対策も対策コストを払っていたりしますよ。

うめ

そうなんですね。鳥獣害って、農業ばかりだと思ってましたよ。そっか、広い目で見て人が住んでいる場所の隣は森林だし、そこに生息していますもんね。

話は変わりますが、農、林ときて、水産業ってどんな被害があるんです?

やまもと

水産業だと主には漁業被害ですね。漁業は内水面と海洋があります。平たく言えば川・湖沼と海といったところですかね。身近なのは内水面ですかね。

内水面の被害は、よくある例は鳥だとカワウがアユなどの川魚を食べてしまうのがありますね。放流した途端に、川に群がりブワーッと。それらを含めたカワウによる被害金額は年間50億円を超えるようです。

うめ

土手沿いを車で走ってて見かけるカワウってそんなに被害出してたんだ・・・。確かに遊漁券買って釣れなかったら悲しい(腕前は置いておいて・・・)

やまもと

海洋の被害だと、興味深いのはトド被害です。北海道のニシン漁に大きな被害をもたらしていますよ。トドが、ニシンを捕らえる網を破って食べちゃうらしいです。サルの追払い用の駆逐用煙火の原点って実はトド追払いだったりします。

これは余談ですが、海洋といえば、瀬戸内海を泳ぐイノシシも忘れちゃなりません。最近はシカも泳いで島から島に、らしいですよ。イノシシによる漁業被害はまだ報告はないみたいですが、なんと岸壁の釣り人を海に突き落とした事例は報告されています。

うめ

トドってそうだったんですね!しかし・・・釣り人を海に突き落とすイノシシ!?想像すると恐ろしい。。これは生活被害に当たるのかな。

やまもと

その通りです。いい視点ですね。

実は被害の広がりで言えば、生活被害がもっとも深刻と言えます。例えば、最近、市街地にサルやクマが現れて大騒ぎになったり、シカが車や列車に衝突したりというニュースを盛んに目にするようになってません?

うめ

そういえば確かによく目にするようになったような。

やまもと

これは今、野生動物が、それだけ人間の生活圏に接近してきている表れなんです。すなわち獣害問題は、農林水産物の生産地である地方だけの話ではなく、「人口密集地」にまで影響を及ぼしつつある、今後多くの人が直面する社会問題と言えるんです。

うめ

これはシティボーイの自分には縁遠い話、とも言えない気がしてきましたよ!(つづく)

やまもと

シティボーイ・・・
(この人、甲府在住だったよな・・・、いや確かに相対的にシティだけど・・・追求はよしとこう。)